『再婚生活 私のうつ闘病日記』 (山本文緒著/角川文庫)

友人がうつ病になっているので、この本を思わず手にとってしまった。
仕事でうつ病の人や心の病の人と多く接していたのに、身近な人がうつ病にになってしまうと、自分では手も足も出ない。
ひたすらご機嫌伺いのようにして暮らしている私。
友人がうつになったのは私のせいではないけれど、友人が鬱になるかもしれないという予感はあった。予感はあったけどあまりに彼が一生懸命にしているのを見ると、年下のお気楽な私は何も言えないままだった。
結局、本当に彼はうつになってしまった。



この本は、うつ病の患者さんが人からどう取られるかがよく分かると思った。私にはありふれた光景だけど、うつの患者さんとともに暮らす家族や、友人などの普通の人々はきっと、この本を読んだらイライラするかもしれないだろうという気分が分かる。
うつ病の理解が深くない人々には腹立たしく思うだろうと思う。
(著者もその点をよく分かっていらっしゃる)


多くのうつ病の患者さんにあるような1日の過ごし方のような事も書いてあるけれど、うつの症状がよりこまかく書かれているわけではない。けれども、生活相談に応じていると、なんとなく似たような話を家族からも聞いたりする。
しかし、本人にはひどくしんどくて辛い日々ではあるのだけど、人に伝わらぬしんどさのの様で、家族間などで摩擦が起きたりもする。



話はさておき、友人のうつ病をなんとかしたいと思っているけれども私にはどうにもできないようだ。
この本を読んでどうやって回復したのかというヒントがないかと思ったけれど、友人がどんな気持ちでいるのだとうか…ということを思う以外は分からないまま…。

「焦るな」と患者にも言うけれど、それは患者の周りの人にも同じことを言わなきゃならないのかなぁ・・・。
自分でもよく承知しているけれど、なんとかしたいと思ってしまう。
「焦るな私」という声と、「なんとかしなきゃ。どうしたらいいの」という思いが繰り返し起こる。
気長に友人の回復を願うことしかできないのかしら…。