白い萩


早いもので秋になったしまった。
萩の花を見るとまだ吹く風は夏の暑さがあるのに秋になったのだと実感する。

萩の花は沢山の花をつけるけれど、春のような華やかさはなくて、しっとりと落ち着いている雰囲気。
花言葉も「思案」「思い」だという。

季節がいつの間にか流れて気がつけば、疎遠になってしまった人とも随分、なにもないまま月日が過ぎてしまった。
いくら便りをだしても返事がもらえないのは、だんだんと相手が離れていく姿が見えるようで辛い。
秋でなくとも今年は思案することが多い。

   逢ふことの たえてしなくは なかなかに
            人をも身をも うらみざらまし
                            中納言朝忠
  (あの人と逢う そんなことがただに一度もなかったならいっそこんなに恨むことも
   なかったろうに あの人のつれなさも わが身のこのちらさをも)
           参照:『古典に親しむ② 百人一首』大岡 信/世界文化社