恋を疑う

オシロイバナハは、我が家ができた時から咲き始めた夏の花。

様々な色と模様がドレスや、洒落たワンピースのようで、妹とこの花で
遊んだっけ。
黒い種の中には、白い粉のようなものがあって、きっとこれが白粉なんだわ…
と思ったっけ。

おしろい花花言葉は「小心」「臆病」「私は恋を疑う」。
夕方に咲くこの花のどことなく儚げでさびしげなイメージにぴったり。



    恋ひ恋ひて 逢へる時だに うるはしき 言くしてよ 長くと思はば

                           大伴坂上郎女   
   (せめて恋い焦がれてようやく逢えた時だけでも、優しい言葉を
    ありったけ聞かせて下さいな。長く二人の仲を続けようとお思いなら)
            
        (ビギナーズ・クラシックス日本の古典万葉集 角川文庫 参照)


遠距離恋愛をしていた頃があった。
ようやく逢うことができた週末なのに、彼は翌日に用事があるから会えないと
言った。せっかく長い距離を会いに来た私は最終まで一緒にいられると思って
いただけにショックだった。
彼は私ほど逢いたくて恋しくはなかったのだろうか?
怒って、喚いて、我がままを言って時間を作らせたかったが、物わかりがいいと
思われている私はそれができなかった。
我がままを言うと二度と会ってくれないような気がしたから。
心の中では、「どうして。会いたいと言っていたからこうして来たのに。優しい言葉をもっとかけてよ」と叫んでいたけど。
こんなことが、何度かあったけど私は信じ続けてみたけれど、ついに私は恋を疑ってしまった。